映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』ネタバレ感想レビュー【スパイダーマン最高傑作!】

2019年6月28日(金)に日本で世界最速公開を迎えた本作は、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のエピローグにあたる作品だ。
そして2008年の『アイアンマン』から始まり、11年間で23作品が紡いできた"インフィニティ・サーガ"のラストを飾る。
否が応でも期待値は跳ね上がる中鑑賞したが、その期待をも上回る傑作となっていた。

※以下ネタバレを含む感想レビューになります。




物語

ヨーロッパを巡る科学ツアー

冒頭、怪しい噂を聞きつけたニック・フューリーとマリア・ヒルがメキシコを訪れ、謎の男と嵐を巻き起こす人型のモンスターに遭遇する。
ホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」に乗せて、キャップ、ナターシャ、ヴィジョン、そしてトニーを追悼する映像が流れる。
ミッドタウン高校の学内ニュースでは、スナップと、その5年後の「The Blip」の瞬間を撮影していた映像が映し出された。
消えたものは元のまま、残ったものは5歳年を取っていた。

戦いの当事者であるピーター・パーカーは、親友のネッドとヨーロッパを巡る科学ツアーの中で、意中のMJに告白する計画を立てていた。

メイおばさんとハッピー

ホームレスの支援会でスピーチをするメイの横には、客寄せパンダとして呼ばれたアイアンスパイダーの姿があった。
「スパイダーマン:ホームカミング」のラストでスパイダーマン姿をメイに目撃されていたが、その後メイはピーターのスパイダーマンとしての活動を受け入れたようだ。

舞台裏にはけると、そこでトニーの親友であるハッピーと再会を果たす。
ハッピーとメイの仲睦まじい姿に違和感を持つピーターだが、ハッピーはフューリーから電話が来ると告げる。
しかし突然の話にビビったピーターは、フューリーからの非通知の電話を留守電にしてしまう。
その後会場に戻ると記者達から質問攻めにあい、ピーターは「次のアイアンマン」という言葉に動揺してしまう。

16歳の高校生

エンドゲームでの戦いの後、ピーターはアベンジャーズのスパイダーマンとしてでなく、普通の16歳の高校生としての生活を望んでいた。
メイから念のためとスパイダーマンのスーツを持って行くよう促されても、それを受け入れなかった。
そんな精神状態も関係してか、危険を察知する"スパイダーセンス"改め"ピータームズムズ"も沈黙していた。

相変わらずフューリーからの電話を留守電にしつつ、いよいよピーターの夏休みが始まる。

恋のライバル

最初の目的地ヴェネツィア行きの機内、ピーターはMJの隣に座ろうと画策するが失敗に終わり、ハリントン先生の隣に。
一方MJの隣には恋のライバルである、5歳年を取りハンサムになったブラッドが座ることになってしまう。
9時間かけヴェネツィアに到着した一行。
ピーターは、ネッドが学内ニュースでお馴染みのベティとカップルになっていることを知る。
そしてピーターの荷物には、メイがこっそりスーツを忍び込ませていた。

ハイドロマンと謎の男

ヴェネツィアの街を思い思いに楽しむ中、ピーターは旅の目的であるパリのエッフェル塔で渡すブラックダリアのネックレスを購入した。
店を出た後偶然出会ったMJと会話していると、ヴェネツィアの街に突如水のモンスターが現れる。
すると冒頭に登場した金魚鉢頭の魔法使いがそれを迎撃する。
落ちていた仮面を被り彼をサポートするピーター。
街の崩壊を防ぐのに手いっぱいになっている中、魔法使いがモンスターを仕留めた。

フューリーとミステリオ

その夜、ホテルの自室に戻るとフューリーが待ち伏せていた。
フューリーに連れられ拠点へ向かう道中、トニーからの贈り物を受け取る。

拠点にはヒルをはじめフューリーの部下達、そして謎の男ミステリオの姿があった。
ミステリオはクエンティン・ベックと名乗ると、自らは別の次元"アース833"から、この"アース616"に来たと語る。
そして自身の世界を破滅させた、四元素を司る"エレメンタルズ"を倒すため戦っているという。
すでに3体を倒し、残る火のエレメンタルはチェコのプラハに現れると話す。
協力を渋ったピーターだったが、フューリーによって科学ツアーが急遽プラハ行きとなってしまう。

イーディス

プラハ行きのバス内で、ピーターはトニーからの贈り物を開けた。
そこにはトニーが愛用していたメガネと、スターク・インダストリーズのメッセージカードに「次のスタークへ 君に託す」と書かれていた。

「Even Dead, I'm The Hero.(死んでも私はヒーロー)」の頭文字をとった"イーディス"は、衛星へのリンクや大手通信網にアクセスできる何でもありのAR防衛システムだ。
超高性能AIを手にしたピーターは、MJのメッセージを覗き見したい気持ちを何とか抑えた。

あわや大惨事

「プラハでスパイダーマンが戦うと正体がバレてしまう」と危惧するピーターのために、オーストリアでの小休憩のタイミングでフューリーの部下の女性エージェントから"ステルススーツ"が手渡された。
しかし試着のため服を脱いだところをブラッドに目撃され、写真を撮られてしまう。

バスに戻ると、写真がMJに見られることを恐れたピーターは、イーディスで誤ってブラッドを攻撃のターゲットにしてしまう。
衛星から発射されたドローンがブラッドを始末すべくバスを襲うが、ピーターは何とかみんなにバレないようそれを阻止した。

クエンティン・ベック

ピーターは到着したプラハの拠点で、イーディスの誤操作をフューリーに責められる。
その後街で一人落ち込むピーターを励ますベック。
初めてヒーローの先輩として悩みを共有してくれたベックに、ピーターは心を開く。
そしてイーディスに指示し、クラスメイトを安全な屋内のオペラに連れ出す。
オペラハウスでMJから誘われるが、エレメンタルと戦うため後ろ髪を引かれながらもその場を後にするピーター。
しかしMJはピーターを探しに外へ、その後を追いベティとネッドも屋外へ出てしまう。

モルテンマンとの戦い

伝統行事である「光のカーニバル」が開催されているプラハの街に、火のエレメンタル"モルテンマン"が現れた。
ステルススーツに身を包んだピーターはミステリオと共に立ち向かう。
観覧車に取り残されたベティとネッドを守りつつ、攻撃をかいくぐりながら全力で挑むピーターだが、モルテンマンは鉄を取り込み巨大化してしまう。
絶体絶命の中、ミステリオは決死の覚悟で自らモルテンマンの体内に侵入し大爆発を引き起こすした。
何とかモルテンマンを倒すと、フューリーはその活躍を称え、ミステリオをベルリンの本部へ招待する。

一方でスパイダーマンとしての意思が固まらないピーターを、ベックが飲みに誘う。
そこで悩みを打ち明けた末に、ピーターは彼こそがトニーの後継者だと信じイーディスを託した。

ミステリオの正体

ピーターが酒場を後にすると、ベックはそこにいた仲間たちと祝杯をあげた。
かつて技術者だったベックは「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でトニーにコケにされ恨みを持っていた。
そして元スターク・インダストリーズの技術者や脚本家など仲間を集め、エレメンタルズという脅威、そしてミステリオというスーパーヒーローの存在をでっち上げていた。

ヴェネツィアで出会った時から、ピーターからイーディスを譲り受け、自らがアイアンマンの後継者となることこそが彼の目的だったのだ。

MJへの告白

そんなことを知る由もないピーターはベックに後継者を託したことで、普通の16歳の高校生に戻り、MJに告白しようと決意する。
2人でこっそりホテルを抜け出し、事前に調べていたデートスポットのカレル橋で思いを告げようとすると、MJはピーターがスパイダーマンなのは知ってると話す。
慌てて否定するピーターだが、MJはモルテンマンとの戦いの最中に持ち出したある物にウェブが付いてるという証拠を見せる。
すると突如恐ろしいモンスターが現れる。
MJが持ち出したのは高性能のプロジェクターだった。
続けてその映像には、ミステリオがエレメンタルと戦ってる姿が映し出された。
ピーターは自らの誤ちに気づくと、突如としてMJに自身がスパイダーマンであることを打ち明けた。

翻弄されるピーター

その頃プロジェクターがピーターにバレたと知ったミステリオは、最終決戦のリハーサルを切り上げる。
ホテルに戻ったピーターは、MJに正体を打ち明けたことをネッドに話すと、急ぎフューリーのいるベルリンの本部へと向かう。

ベルリンに到着すると間もなく、フューリーが現れピーターを本部へ案内した。
しかしそこあったハズの本部もヒルも、ミステリオの生み出した映像だった。
ミステリオにハメられたピーターは、その幻影で徹底的に追い込まれ、トニーの死すらも自らの責任だと恐ろしい光景を見せられる。
そして映像のフューリーにMJ、ネッド、ベティが真実を知ったはずだと話してしまう。
心身ともに痛めつけられたピーターは最後、ピータームズムズが発動することなく列車にはねられ意識を失った。

ミステリオはイーディスを使い、MJ達をエレメンタルズとの最終決戦の地であるロンドンに誘導する。

トニーの後継者

目が覚めると、ピーターはオランダの留置所にいた。
すぐさまハッピーに助けに来てもらい、傷の手当てを受ける。

そこでトニーの後継者と言われることのプレッシャーや、彼を失った寂しさ、自らの未熟さを激白する。
それを聞き入れたハッピーは「トニーにはトニー自身すらなれない」と返す。
そして「トニーはいつも悩んでいたが、君のことは悩まなかった。だから全てを託しただ。」と続ける。
そんな優しくも力強いハッピーの言葉で奮い立たされたピーターは、友達を救うべくミステリオを倒す決意を固めた。
フラッシュのInstagramから、一行がロンドンにいることが分かりそこに向かう。
そしてジェット機にはスーツラボが備え付けられていた。
ピーターは新たなスーツ作りに取りかかると、その没頭する姿をハッピーは満足げに眺めていた。
そしてAC/DCの「Back In Black」に「ツェッペリン最高!」と知ったかぶりしながら、ピーターのスーツ作りが続く。

ロンドンを襲うエレメンタルズ

MJ達はミステリオの部下に連れられロンドンのタワーブリッジに到着した。
そしてモーションキャプチャー姿のミステリオの合図で、巨大なエレメンタルズが現れると、すぐさまミステリオの映像がエレメンタルズに挑む。

クラスメイトに危険が及ぶことを恐れたMJ、ネッド、ベティはその場を離れるが、フラッシュもそれに続いた。
ここでハッピーはフューリーに、暗号でメッセージを伝えた。
ミステリオに感知されることなくエレメンタルズの上空に到着したピーターは、新しい"アップグレードスーツ"のパラシュートで急降下する。
そして内部に侵入すると、映像を映し出していた無数のドローンをテーザーウェブで停止させる。

スパイダーマンVSドローン

フラッシュのストーリーを見てMJ達の元へ駆けつけたハッピーだったが、ミステリオにジェット機を破壊され、ロンドン塔のクラウンジュエル展示会に逃げ込む。
MJが勇敢にドローンに立ち向かいながら何とか奥の部屋まで避難する。
しかしドローンの侵入が時間の問題という絶体絶命の状況で、5人は自らの後悔や秘密を打ち明ける。
ハッピーは「スパイダーマンのおばさんが好きだ!」と叫んだ。

無数のドローンを相手に苦戦していたピーターだが、銃撃をかいくぐりながらタワーブリッジを縦横無尽にスイングし、見事ミステリオに拳を食らわせる。

スパイダーマンVSミステリオ

タワーブリッジの渡り廊下で遂に対峙した2人。
ミステリオは周辺のドローンを呼び寄せると、ピーターを陥れた幻影を再び見せる。

ピーターは落ち着いて深呼吸すると、「頼むピータームズムズ」と呟き、意を決して駆けだした。
完全に視界を奪われながらも、"ピータームズムズ"全開で次々にドローンを破壊していく。
追い込まれたミステリオはイーディスに危険を承知で銃撃を命じるが、自ら被弾してしまう。

決着

銃弾を受け観念したミステリオは、ピーターにイーディスを差し出した。
しかし直後銃声がすると、ピーターの横に潜んでいた本物のミステリオが現れた。
ピータームズムズによりこれを見切られたミステリオは、受けた銃弾の怪我が重く、その場に倒れ込む。

ミステリオは「人は何かを信じたい」、そして「今の時代人は何でも信じる」と言い残し絶命した。
初めて人を殺めたピーターは、動揺しながらもその姿をじっと見つけめていた。

ピーターとMJ

戦いを終えボロボロのピーターの元に、MJが駆け付け抱きしめた。
MJはハッピーから渡されたブラックダリアのネックレスを見せるが、それは割れてしまっていた。
ピーターがエッフェル塔の頂上で渡す計画を残念そうに伝えると、MJがキスをした。
そして彼女は「スパイダーマンだから」見ていたのでなく、「ピーターだから」見ていたことを打ち明ける。

ネックレスが割れてしまったことを残念がるピーターに、MJは「欠点がある方が好き」とほほ笑んだ。
そんな彼女の言葉に心から「大好きだ」とピーターが言うと、MJも「大好き」と返した。
そして2人はキスを交わすと、はにかみながらその場を後にした。

帰国

ハッピーの暗号でミステリオの正体を見抜いたフューリーは、ハッピーの元を訪れる。
ピーターにのことを話すと、ハッピーは「彼から連絡する」ときっぱり。
何かあったら君の責任だと迫られても、毅然とした態度を見せた。
ニューヨークの空港では、MJと手をつなぐピーターの姿があった。
ネッドにダブルデートを提案すると、ベティとの関係が円満に終わったことを明かされる。
空港を出ると、メイおばさんが笑顔で出迎えた。

平穏な日々

自宅でメイとハッピーに向かい合い、2人に付き合っているのかと聞くピーター。
メイは「No」、ハッピーは「Yes」と答えた。
ひと夏の恋だったのかこれから発展するのかと言い合う2人に、デートの約束があると言いピーターはその場を後にした。

「アベンジャーズ」でお馴染みのニューヨークのセントラル駅をスイングするピーター。
MJにメッセージで「ぶらりスマホ禁止」と注意されながら、彼女の元へ駆けつけた。
そしてMJを抱きかかえると、2人でニューヨークの街をスイングして回った。
MJの悲鳴とともに着地すると、ゴーゴーズの「Vacation」の軽快なリズムでエンディングに突入する。

ポストクレジットA:天国から地獄

降ろされると「もう二度とやらない」と話すMJ。
「気を付けて」とピーターを見送り2人が別れようとしたところで、モニターに速報のニュースが入る。

そこにはミステリオの仲間により捏造された、スパイダーマンがドローンで市民を危険に晒したとする映像が流れた。
さらにデイリービューグルのジェイ・ジョナ・ジェイムソンが映し出される。
JJJはスパイダーマンの正体が判明したと話す。

映像で瀕死のミステリオが告げる。
「スパイダーマンの正体は…ピーター・パーカーだ」
衝撃の映像に「What The Fu-」と頭を抱えるピーターでエンドロールに突入する。

ポストクレジットB:まさかのサプライズ

エンドロールが明けると、車を走らせるフューリーとヒルの姿が。
するとまもなく、2人が「キャプテン・マーベル」に登場したスクラル人のタロンとその妻ソレンであることが判明した。

タロンはしみじみと余韻に浸りながら、ソレンにせかされフューリーに問題が起きたと電話をする。
スクラル人で溢れる巨大な拠点で束の間の休暇を満喫していたフューリーは、気だるそうに重い腰を上げた。



感想

スパイダーマン最高傑作

前作「スパイダーマン:ホームカミング」は個人的に上げ過ぎた期待値を超えてはこなかったため、エンドゲームのエピローグにあたるこの重要な作品が、前作と同じジョン・ワッツ監督で大丈夫か少し不安があった。
ところが鑑賞後の感想は「ジョン・ワッツ様様」。

MCUの中でも最高峰に好きな作品で、スパイダーマンとしては間違いなく最高傑作と言える素晴らしい作品だった。

16歳のピーター・パーカー

今作の素晴らしいところは、圧倒的なアクションももちろんだが、何よりも16歳の学園物語としての完成度。
インフィニティウォー、エンドゲームと壮大な物語を見せられた後、あくまでも今作はクイーンズの高校生の物語をきちんと描いていたところ。

前作以上に際立つネッド、フラッシュやハリントン先生達と、MJを巡る三角関数。
この主人公以外のクラスメイト達の魅力や、機内のトイレのシーンなどちょっとした思春期らしさを感じる演出は、この監督だからこそ撮れたものだと思う。

圧倒的なアクションとピータームズムズ

今作のアクションシーンはMCU随一だ。
ミステリオの恐ろしい世界で圧倒されるピーターの感覚を観客にも味わせてくた。
今の時代だからこそ説得力のあるミステリオのフェイクも完璧にハマっていた。

そして前作で出し惜しみしていたスイングをタワーブリッジでこれでもかと見せてくれた。
ドローンを相手にダイナミックなカメラワークで、本当に心から観たかったもの以上のスパイティのアクションを堪能できた。

何よりも感動したのがスパイダーセンス改めピータームズムズの演出。
実写ではどうしても描くのが難しいこのスパイティの醍醐味を、スイング同様あえて封印して最後の最後にとっておきの形で見せてくれた。
ミステリオの幻影、タワーブリッジのスイングだけでも大満足なのに、最後にあんなかっこいいものを見せられたら堪らない。

さらにはダメ押しのようにラストシーンで見せてくれたニューヨークをスイングするスパイダーマン。
もはや大満足を通り越しすぎて言葉がない。とにかくありがとうと言いたい。

新しいスパイダーマン

スパイダーマンの物語は本当に辛くて暗いが、このピーターには理解者が多くいる。
原作では高齢のメイおばさんに心配をかけまいとスパイダーマンであることを打ち明けられない。
しかし今作のメイは若く頼もしく、スパイダーマンの活動を認め応援してくれている。
そして親友のネッドがいて、ハッピーもいる。
こう聞くとポジティブ要素が多すぎるように感じるが、トニーの死はその一つだけでこれら全てと対等な悲しみになっている。

ピーターを見出し、誰よりも信頼し愛し、アベンジャーズとして迎え入れてくれた存在。
ベンおじさん亡き後の父親のような存在であったトニーの死は、ピーターにとって何よりも辛い出来事だ。
これはMCUというユニバースだからこそできた物語で、この形を受け入れてくれたソニーには本当にありがとうと言いたい。

ハッピーの存在

今作のMVPはハッピーだ。
メイとのシーンでの笑いだけでなく、トニー亡き後のピーターがもう一度再起するのに、彼の存在は不可欠だった。

まるでトニーのようにスーツ作りに没頭するピーターを満足げに眺める表情は、エンドゲームでのモーガンのチーズバーガーのとき同様観客を本当に泣かせるものだった。

クラウンジュエル展示会で盾を投げた後の「キャップはすごい!」も間違いなく今作のハイライト。何回見ても面白すぎる。

ミステリオという最高のヴィラン

ベックはきっと本当にピーターのことを慕っていれくれたように思う。
それでも目的のためには犠牲もいとわず、市民を巻き込んだ彼がヴィランであることは間違いない。
今の時代だからこそ説得力のある彼の存在と言葉は、今作限りでいなくなるのが本当に惜しいと思えるほど魅力的なキャラクターになっていた。

スパイダーマンではあるが中身は16歳のピーターが、嘘であっても自分の兄貴分として心を許したベックを直接ではなくとも殺すことになったのは、間違いなく大きなダメージがあると思う。
しかし何より彼が最後に残した爆弾はあまりにも強烈だった。

今後の展開

宇宙1のアンチスパイダーマン・JJJの登場はスパイティファンを熱狂させたが、その内容があまりにも衝撃的すぎた。
スパイダーマンの正体はコミックではシビルウォーの超人登録法を巡り自らの意思で世界に公表した。
しかしそれはあまりに悲惨な結果を生むことになった。
MCUのスパイダーマンに恨みを持つヴィランの数はコミックに比べれば全然少ないが、間違いなく悪い事が起きてしまうだろうという恐ろしさがある。

またフューリー(タロン)が作中、クリーの潜伏工作員の話をしていたが、ポストクレジットのスクラルの本部も出てきたことで、今後「クリー/スクラル戦争」が展開される布石であることは間違いなさそうだ。
これはコミック未読でストーリーを知らないから、純粋にMCUで展開される物語を楽しみにしている。

MJの言葉の重み

壊れたブラックダリアのネックレスを見て「欠点がある方が好き」というMJ。
ピーターはその言葉に泣き笑いのような表情を浮かべ本当に大好きだと告げる。

スパイダーマンはその責任を負わなければならない。
彼女をつくっても常には期待に応えられないし、奥さんができても必ず裏切ることになってしまう。
それがヒーローであることの宿命で、ピーターが一生悩み続けなければいけない問題だ。

そんなピーターにだからこそ、MJのこの言葉は観てるこっちが泣いてしまう。
きっと彼女なら本当にピーターを心から受けれてくれて、拠り所になってくれるんだろうな思える救いの言葉だった。

無限にある好きなシーン

別れた奥さんを今作でも引きずって、ヴェネツィアで情けなくカメラを落とすハリントン先生。
責任転換しかしないデル先生。
殺されかけたり、まともな事言ってたのにネタキャラ扱いされるブラッド。
最高に可愛いバカップルのネッドとベティ。
目の前のピーターとネッドをオペラグラスで覗き込むベティ。
スパイダーマンを絶賛してピーターをコケにしたり、バスの中でピーターにぶん殴られるフラッシュ。
ちょっとユーモアのあるタロンフューリー。
告られそうになってビビってスパイダーマンの話をしちゃうMJ。
ぎこちないキスが可愛すぎるピーターとMJ。etc

愛する作品

アクション、ストーリー、キャラクター、ロケーション、笑い、感動。
高まるサントラに、究極的なキャラクタービジュアル、キャストのハマり方、全てが最高だったこの作品を本当に愛してる。

この仲間たちと共に歩むトム・ホランドのスパイダーマンを、これからもずっと観ていきたい。

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