彼女目当てに興味を持っていたが、恋愛映画はたまにしか観ないので後回しになり今更ながら鑑賞。
デナーリスとは打って変わって明るく楽しいルーという女の子が主人公の今作だが、あらすじも見ずに鑑賞したため予想外の展開に驚かされた。
ただのロマンチックな恋愛映画ではなく、人における大きなテーマを投げかける素晴らし作品だった。
※以下ネタバレを含む感想レビューになります。
あらすじ
ルイーザ・クラーク
カフェで働く26歳のルーは、6年間務めた店の突然の閉店により、新たな仕事を探すことになる。
給料も高く特別な資格も不要とオススメされ選んだのは、車椅子生活をするウィルという男性の介護士だった。
ウィル・トレイナー
若くして優秀な実業家であったウィルは、ある日交通事故で車椅子生活を余儀なくされる。
事故をきっかけに彼女を親友に奪われ、回復の見込みもなく人生に絶望し殻に閉じこもっていた。
2人の出会い
ウィルの母にただの仕事でなく、できれば友達のような関係を築いてほしいと言われ、ウィルに明るく話しかけるルー。
しかしウィルは彼女に静かにするよう頼み、心を開こうともしなかった。
ウィルの決心
当初はルーに冷たく当たっていたウィルだが、ある日映画をきっかけに打ち解ける。
そして徐々に笑顔も増え、2人はすっかり仲良くなっていった。
仕事を楽しみながらやりがいを感じていたルーだが、ある日ウィルの両親の話を盗み聞きしてしまう。
ウィルは母にも告げることなく、父との約束で半年前からスイスでの安楽死を決めていた。
ルーの願い
それを知ったルーは何とかウィルに考え直してもらうべく、彼に人生を謳歌してもらおうと努力する。
出会った頃は家に引きこもりがちだった彼を競馬からクラシック、自身の誕生日パーティーと様々な場所に連れ出す。
そしてウィルも、以前まではきちんと向き合えなかった元彼女の結婚式にも、自分の意志で出席するようにまでなった。
ルーのおかげで身も心もすっかり明るくなり、彼女との生活を心から楽しんでいるようだった。
ウィルの願い
時折体調を崩すウィルだが、ルーは医師の許可を得て、強い決意を持って旅行へと連れ出す。
2人は心から楽しみ、そして遂にお互いに惹かれ合っていた想いも重なった。
それでも、ウィルの決心が揺らぐことはなかった。
そして今はルーを愛するからこそ、彼女の人生を縛り付けたくないという強い思いがあった。
ルーの決断
受け入れられないルーは、最期を看取ってほしいという願いも拒み、ウィルの元を去る。
しかしその後、父の言葉にも後押しされ、ウィルのいるスイスへと向かう。
両親に見守られ穏やかそうなウィルと、彼女は最期まで寄り添った。
新たな人生
それからしばらくして、ルーはウィルの思い出の地であるパリを訪れていた。
ウィルの手紙には、ルーに新しい人生を進むためのお金を残したこと、自分に焦がれ悲しむことなく健やかに生きてほしい、そして僕は君と共にいるというメッセージが書かれていた。
ルーは悲しみに浸ることはなく、お馴染みのソックスを履き、笑顔で歩んでいった。
感想
ルーの笑っちゃうくらいダサいファッションと、天真爛漫な明るさ、ディズニーキャラクターのような喜怒哀楽に観てるこっちも幸せな気持ちになれた。
人生の絶頂にいたウィルは突如として自分一人では何もできない身体となり人生に絶望していた。
そんな2人がめぐり逢い、惹かれ合い、そして愛し合っていく。
ウィルはルーという太陽の様な存在に心から惹かれ、ルーもまた日々彼を思う内に、その気持ちが段々と強まっていった。
尊厳死
そんな愛する人の尊厳死(正確には安楽死)は、あまりに辛い決断だ。
受け入れることは難しいが、それでもルーの最後の決断はきっと正しかったと思う。
想像を絶するほど悲しく辛い経験でも、最後まで相手を思いやり理解した彼女を尊敬する。
受け入れられず酷く悲しい思い出として終えていたら、彼女はもしかしたら明るく前を向くことはできなかったかもしれないとも思う。
ただウィルの願いも理解できる。
長年寄り添った夫婦でも、相手の負担を考え自ら終わらせることを望む人は少なくない。
しかもルーはまだ若く、これからの人生に無限の可能性を秘めている。
そして「もしこの先少しでも後悔させたら耐えられない」という思いは本当に心からのもので、ウィルのこの激白には感情を揺さぶられた。
尊厳死の是非
ウィルとルーの母は例え本人の意志であろうとそれを受け入れられない。
しかし父達とネイサンは、その意思を尊重していた。
ルーも当初は反対したが、最後は彼の意思を受け入れた。
これに関しては正解はないと思う。
自分はあるべき制度だと感じるが、受け入れられないという意見にも当然納得できる。
キャスト
エミリア・クラークが本当に可愛かった。
エミリアの出演映画と言えば「ターミネーター:新起動/ジェニシス」「ハン・ソロ/スターウォーズ・ストーリー」という大作ながら評判がよろしくない2本があるけど、これからはこっちが浮かぶ。
「ゲーム・オブ・スローンズ」で彼女に興味を持つ人がいればオススメしたいのも間違いなく今作。
ウィルを演じたサム・クラフリンもハンサムでセクシーだった。
特に見覚えのある俳優ではなかったけど、「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」のフィリップってあの青年の人だったことを後で知った。
そして「ゲーム・オブ・スローンズ」でタイウィン・ラニスター役のチャールズ・ダンスが出てきてびっくり!
タイウィンの印象でどうしても最初はビビっちゃうけど、今作では良いパパで良かった笑。
もう一人作中びっくりしたのが「ハリー・ポッター」シリーズのネビル役でお馴染みのマシュー・ルイスがルーの彼氏として出てきたこと。
ズレてるとこはあるけど愛嬌があって良い彼氏だったし、ルーとの交際も長かっただけにある意味で今作一番可哀想な役だったけど…。
印象的な音楽
今作の良かった点の一つが、挿入歌で流れるエド・シーランの曲。
主題歌である「Photograph」は本当に素晴らしく、2人が結婚式を抜け出すシーンの「Thinking Out Loud」も印象的。
特に前者は歌詞が本当に作品に合ってて、単純に曲として魅力的なのに、この映画の記憶が重なってより素晴らしく曲に感じるようになった。
原題「Me Before You」
邦題は「世界一キライなあなたに」。
一度聞いたら忘れないキャッチ―なタイトルではあるけど、この邦題を良く思わない人が多いのは鑑賞して納得。
安っぽく感じるし、受け手それぞれが解釈できる「Me Before You」の方が適してた。
予告編は見ない方が良い
余談として、これは本国の予告もそうだから恋愛映画に総じて言える事な気がするけど、予告は見ない方が良いなと。
劇場で観る人は仕方ないけど、評判が良いからと気になってる人には直接本編を観ることをオススメする。
鑑賞後に見てみたら全部を説明しててびっくり。
自分は予備知識なく観たことでストーリーを新鮮に楽しめて良かった。
総括
恋愛映画として美しくロマンチックで、ルーという明るく楽しい女の子を見ているだけで幸せな気持ちになれる。
それでいて尊厳死という、正解のない人における永遠のテーマを投げかける強いメッセージ性があり、笑って泣ける素晴らしい作品だった。
個人的に好きな映画にリスト入りするような、出会えて良かった大好きな映画。
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